夜の晴れ

日の出や日の入りの時刻が春に近づいたとはいえ、午前6時前の空はまだ目覚める前だ。空気はしんと冷え、街も静まり返っている。

通りを走る車のヘッドライトの光は煌々と灯り、暗闇の道の上をするすると滑っていた。

ふと空を見上げると、深い藍色に染まったキャンバスに点々とわた菓子のような雲が貼りついていた。

夜の帳はそろそろあけて、燃えるようなオレンジ色に染まることだろう。

車内に乗り込み、氷のようにキンキンに冷やされたハンドルを握りしめエンジンに火をつける。

「日中は暖かくなるといいな」

フロントガラス越しによく晴れた夜の空を眺めながら、知らずに僕はそう呟いていた。



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