二度寝からの復活 小雨ラン3km|灰色の世界はどこまでも

『世界は灰色でできているんじゃないだろうか』

けたたましいアラームの音から90分以上経ってから目覚めた僕は、窓の外にある世界を見たときにすぐにそう思った。

東京の空は今日も雲に覆われていて、昨夜からの雨も若干残っていた。これで4日目だ。


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いったい太陽はいつになったら顔を出してくれるのだろう。

青空はもう二度と広がることはないんじゃないだろうかと、グレー色に染まった空のキャンパスを眺めながら気持ちのざわつきを感じた。

蝉は、自分の命が力尽きるその時まで全力で精一杯にその存在を認めさせるかのように鳴く。8月はじめのことだ。

その前後から数えて初めて、昨夜の冷え込みから無意識に身体に毛布をかけて寝ていたようだ。タオルケットでは心許ない寒さがそうさせた。

胃腸の弱い僕の身体は、季節の変わり目とか急激な気温差にとても弱い。あと刺激物を摂取しても同様にお腹にくる。

ランニングウェアに着替えてシューズの紐を結びながら、腹の具合を気にしていた。

あいにく太陽が顔を出すことはないだろうがとっくに日の出時間は過ぎていて、どことなく焦っている自分を感じる。

毎朝のランニングを日の出とともに体感したい というのが、ここのところ僕が朝ランに切り替えた目的でもあるから尚更だろう。

お腹の違和感よりも、日の出ランができない違和感の方が優っていたに違いない。

僕は玄関のドアを開けた。

もはや360度どこを見ても灰色だった。

行き交う車、無表情で歩くサラリーマン、たくさんの紙袋を下げた謎の老人。そして空。

幹線道路のトラックだけがただ轟々と唸りを上げて過ぎていく。そして気にもならない小さな雨は、ひっそりと(音もなく)僕の頭や肩に落ちてくる。

灰色の世界はその街の音色さえも灰色に染めているかのようだった。

そんな時、走っている途中でお腹からサイレンが鳴っているのが感じられる。かなりの危険な信号だ。

ロングランを計画していたがすぐに自宅周辺をだらだら走ることにして、危機回避に努めた。

何事もリスクを取らなければ成就することはない。しかしできれば取りたくないリスクもある。

目の前が灰色よりももっと黒く霞んできた時には僕の足は自宅に向かっていて、ランニングによる発汗なのか腹痛によるあぶら汗なのかわからなくなっていた。

玄関のドアに鍵がかかっていなかったのが幸いだ。

僕はその足で急いでトイレに駆け込んだ。

間に合った。

危なく僕自身が灰色になるところだった。




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